ビースターズの打ち切り理由を調べていると、いろいろな噂が混ざって出てきて、かえって混乱してしまいませんか。
最終回の締め方がどこか急に感じられた、そもそもビースターズは完結しましたかという基本の確認をしたい、入り口は読む人それぞれだと思います。
この記事ではまず、ビースターズの最終回は何巻ですかという素朴な疑問に答えつつ、連載終了までに何が起きていたのかを順番に整理していきます。
あわせて、ビースターズのアニメ打ち切りという言葉がどこから生まれたのか、最終回のアニメがどんな形で決着したのかも見ていきますね。
そのうえで、ビースターズが気持ち悪いと言われがちな描写の意味や、レゴシはなぜ退学したのですかという展開の背景にも踏み込みます。
ビースターズの内容を追い直しながら、ビースターズは何を伝えたいのでしょうかというテーマの核にも触れていきますよ。
後半では、ビースターズの相関図で整理したくなる登場獣の関係や、ビースターズの強さを比べたくなる戦闘描写の面白さもまとめます。
ビースターズのメロンと父にまつわる真実、ビースターズのレゴシ死亡説や死亡キャラの整理も外せないところですよね。
最後に、ビースターズのその後と、レゴシとハルの子供がどう語られたのか、続編の見通しまで一気に確認していきます。
読み終わったころには、打ち切りという言葉が本当に当てはまるのかどうか、あなた自身の答えが出ているはずです。
ビースターズが打ち切りと言われる理由と最終回の真相
- ビースターズは完結しましたか?連載終了までの経緯をまず整理
- ビースターズの最終回は何巻ですか?22巻までの流れをおさらい
- ビースターズの最終回が打ち切りっぽく見えてしまう三つの要因
- ビースターズのアニメ打ち切り説と最終回アニメが決着した流れ
- ビースターズが気持ち悪いと言われる描写に込められたねらい
- レゴシはなぜ退学したのですか?誤解されがちな物語の分岐点
完結しましたか?連載終了までの経緯をまず整理
ここ、いちばん気になりますよね。結論の部分だけ先にお伝えすると、ビースターズは打ち切りではなく、きちんと完結した作品として扱われています。板垣巴留さんによる本作は週刊少年チャンピオンの2016年41号で連載が始まり、2020年45号で最終話を迎えました。約4年の連載で、単行本は全22巻。最終巻となる22巻は2021年1月8日に発売されています。
打ち切りという言葉がしっくりこない理由は、連載中の評価を並べてみるとよく分かります。2018年には第42回講談社漫画賞の少年部門を受賞し、同じ年にマンガ大賞2018で大賞にも選ばれました。マンガ大賞は秋田書店の作品としては初の大賞受賞で、そのニュース自体がかなり話題になったんですよね。さらに第22回手塚治虫文化賞の新生賞、第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の新人賞も受けています。ここまで賞を重ねた看板作品を、雑誌側が途中で切る動機はまず考えにくいところです。
連載データを並べて確認
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載誌 | 週刊少年チャンピオン(秋田書店) |
| 連載期間 | 2016年41号から2020年45号まで |
| 単行本 | 全22巻(最終巻は2021年1月8日発売) |
| 主な受賞 | マンガ大賞2018大賞、第42回講談社漫画賞少年部門など |
| 累計発行部数 | 2021年10月時点で750万部突破、その後の公式発表では全世界1000万部超 |
部数についても補足しておきますね。作者本人の発信では2021年10月時点で累計750万部を突破しており、アニメ関連の公式資料では全世界累計1000万部を超えたと紹介されています。集計の範囲や時期で数字が動くので、あくまで一般的な目安として受け取ってもらうのがよいかなと思います。
もうひとつ、完結の直後に板垣巴留さんが同じ週刊少年チャンピオンでビーストコンプレックスの短期集中連載を始めた点も見逃せません。作品を打ち切られた作家が、その翌月から同じ雑誌で新連載を任されるというのは考えにくい流れですよね。つまり、打ち切りという印象は雑誌側の事情ではなく、読者が最終回から受け取った感触のほうに理由があると考えたほうが自然なんです。
最終回は何巻ですか?22巻までの流れをおさらい
ここも確認しておきたいところですよね。ビースターズの最終回が収録されているのは22巻です。単行本の帯やあらすじにも動物版青春ヒューマンドラマ完結という言葉が使われていて、22巻がそのまま最終巻になっています。価格は660円(税込)で、2021年1月8日発売。ここから逆算すると、最終エピソードは2020年の秋にはすでに雑誌上で描き終えられていたことになります。
終盤の流れをざっとたどると、レゴシとメロンの決着がついたあと、ルイがテレビの生中継を通じて肉食獣と草食獣の社会そのものに問いを投げる展開が待っています。裏市に草食獣たちが殺到し、肉食と草食が入り乱れた暴動になりかけるところを、壮獣ビースターであるヤフヤが身を挺して抑えるんですよね。そして落ち着きを取り戻した群衆のなかに、特徴的な角を持つガゼルの姿が紛れている。この一匹が誰なのかを想像させたまま、物語は幕を下ろします。
終盤の刊行ペースも押さえておきたい
| 巻 | 発売日 |
|---|---|
| 18巻 | 2020年4月8日 |
| 19巻 | 2020年7月8日 |
| 20巻 | 2020年8月6日 |
| 21巻 | 2020年10月8日 |
| 22巻 | 2021年1月8日 |
この表を見ると、19巻から21巻がわずか3か月のあいだに詰め込まれていることが分かります。通常なら2、3か月おきの刊行ペースが、終盤だけ明らかに前のめりになっているんですよね。読者が駆け足感を覚えたのは、内容だけでなくこの刊行リズムも一因だったのかなと思います。
ラストシーンについても触れておきますね。レゴシとハルが警察の前で、堂々と付き合っていると言い切る場面で本編は終わります。20巻のメロンとの決闘前、レクスマスの時期にようやく交わした一度きりのキスを経て、二匹はお互いにプロポーズの言葉を交わしました。結婚式や子供の姿は描かれないまま、あくまで関係を公言するという行為で締めくくられる。この選び方が、人によっては潔く見え、人によっては物足りなく見えるところです。
最終回が打ち切りっぽく見えてしまう三つの要因
ここが本題ですよね。完結作なのに打ち切りだと感じてしまう理由を、大きく三つに分けて見ていきます。
要因その一 ビースター制度の扱いが読者の予想とずれた
物語中盤で、種族長らによる評議会が食殺犯を見つけた者を次のビースターにするという決定を下します。読者としては当然、この約束が誰にどう渡るのかを追いかけますよね。ところが真相を公表できないレゴシは対象になれず、表向きの功労者となったルイは作り話の上でビースターを名乗る気はないと固辞します。結果としてチェリートン学園からビースターは輩出されないまま。伏線が消えたのではなく、達成されなかったという形で回収されているんですが、明示的な決着を期待していた読者には投げっぱなしに見えてしまうんです。
要因その二 一度しか出てこない要素が多い
学園の警備員ロクメのように、強い印象を残しながら再登場しないキャラクターがいます。裏市の解体が本当に正しかったのか、レゴシが背負う食肉前科はこの先どうなるのか、といった論点も明確な答えを示さずに閉じられます。ネット上の感想でも、ロクメが個性的なのに一度しか出てこなかったことに驚いたという声や、残っている課題が大きすぎるのではという指摘が並んでいました。
要因その三 最終決戦の情報量が突然増える
メロン戦では、体が異形へ変化し、植物のような器官が生えるという踏み込んだ描写が入ります。それまで学園や職場を舞台にしていた作品が、いきなり生物学的な暴走を見せるわけですから、話の温度差に驚く読者が出るのも自然ですよね。加えてメロンの生い立ち、味覚障害の意味、父の生存という重い情報が終盤に一気に投入されます。伏線を畳んでいるというより、新しい事実を出しながら走り抜けた印象になりやすい構造です。
この三つが重なると、たとえ作者と編集部の合意による完結でも、読者の体感としては駆け足で終わったという評価に傾きます。噂として語られる打ち切り説は、こうした読後感が言葉を探した結果なのかなと思いますよ。
アニメ打ち切り説と最終回アニメが決着した流れ
アニメ側の話も整理しておきましょう。ここ、時期の空白がかなり誤解を生んだところなんですよね。
| シリーズ | 放送・配信時期 | エンディング主題歌 |
|---|---|---|
| 第1期 | 2019年10月から12月(フジテレビ +Ultra枠ほか) | YURiKAによる複数曲 |
| 第2期 | 2021年1月から3月 | YOASOBIの優しい彗星 |
| FINAL SEASON Part1 | 2024年12月5日よりNetflix独占配信 | 由薫のFeel Like This |
| FINAL SEASON Part2 | 2026年3月7日よりNetflix独占配信 | SEVENTEENのTiny Light |
ご覧のとおり、第2期の終了からFINAL SEASON Part1までに約3年9か月の空白があります。この沈黙がいちばん大きな引き金でした。原作はすでに完結しているのに続きの発表がない、しかも放送局からNetflix独占配信へと形が変わる。この二つが重なったとき、打ち切られたのではという受け取り方が生まれるのは無理のない話だと思います。
ただ実際には、完結編は分割2クールという形で最初から企画されていました。Part1が2024年12月から配信され、シリーズ最終章となるPart2が2026年3月7日に配信開始。監督は松見真一さん、制作は宝石の国なども手がけたCGスタジオのオレンジで、体制もそのまま維持されています。第2期については2026年1月5日から各種プラットフォームで見放題配信が始まっていて、シリーズ全体をたどりやすい環境も整いました。
アニメ版の大胆な改変が新たな混乱を呼んだ
もうひとつ触れておきたいのが、Part2で原作から話が大きく変えられている点です。原作終盤で語られた博愛の食肉をめぐる展開が映像化されず、オグマの生死などにも違いが出ています。長年その場面を待っていた原作読者からは、うそでしょうと固まってしまったという率直な感想も上がっていました。一方で、最後までレゴシの物語であり、レゴシとハルの恋物語であり、レゴシとルイの物語であることを貫いた構成として高く評価する声も多いんですよ。改変を打ち切りと結びつけてしまう人が出るのは、この落差ゆえかなと思います。
気持ち悪いと言われる描写に込められたねらい
ここ、口に出しにくいけれど気になりますよね。ビースターズが気持ち悪いと評される理由は、はっきり言ってしまえば食と性と暴力の距離が近すぎるからです。ただ、その近さは事故ではなく設計なんです。
本作の世界では肉を食べることが法律で禁じられた重罪で、動物性の食材として許されているのは卵と乳製品、それに昆虫だけ。生きた肉を食えば軽微な事案でも前科がつきます。それでも本能は消えないので、裏市と呼ばれる場所で違法に草食獣の肉や血が流れている。この設定があるからこそ、レゴシがハルに向ける感情が恋なのか食欲なのか分からないという苦しみが成立するわけですよね。パンダの心療内科医ゴウヒンから、それは狩猟本能が変形した恋愛感情だと突きつけられる場面は、読んでいて背筋が冷えます。
特に反応が大きい描写
テムを食殺したリズが、その記憶を種を超えた真の友情は捕食によってのみ築けるという形に美化していく過程。ルイが自ら右足を差し出し、レゴシがそれを食べて勝利する大晦日の決闘。メロンの母が愛おしそうに微笑みながら息子の背中にアイロンを押し当てる回想。レゴシの母レアノが全身の鱗化に耐えきれず自ら命を絶つ経緯。どれも読後にしこりが残る描写です。
ハルの奔放な振る舞いも賛否が分かれるところですよね。彼女は身体を重ねている間だけは対等な存在として扱われると感じていて、小型草食獣という圧倒的弱者としての諦観を抱えています。単なる不思議ちゃんではなく、社会構造への反応としての行動なんです。作者の板垣巴留さんは、動物同士の性描写を人間社会と同じ様式で描いた理由について、獣臭が増してしまうのを避けたと説明したこともありました。演出の一つ一つに理由があるタイプの作品なんですよ。
気持ち悪いという感想は、この作品にとって失敗ではなく、むしろ狙った反応に近いのかなと思います。差別も欲望も、綺麗なままでは描けないという判断がそこにあるわけです。
レゴシはなぜ退学したのですか?誤解されがちな物語の分岐点
これ、けっこう勘違いされているポイントなんですよね。レゴシは成績や不祥事で追い出されたわけではなく、自分の意志でチェリートン学園を去っています。
きっかけは大晦日のリズとの決闘です。圧倒的な力に押されていたレゴシに対し、ルイが自らの右足を、生き餌として育てられた証である数字の入れ墨ごと食べるよう強要します。レゴシはその力でリズに勝ちますが、生きた動物の肉を口にしたことで食肉前科獣となってしまう。ここが人生の分岐点でした。
食肉前科がもたらす制約
| 制約の内容 | レゴシへの影響 |
|---|---|
| 草食獣との異種族婚が禁止される | ハルとの将来に法的な壁ができる |
| 草食獣との共学校に通えなくなる | チェリートン学園に在籍し続けられない |
| 草食獣が役員を務める会社への就職が困難 | 卒業後の進路も大きく狭まる |
| 罪の軽重に関わらず一生消えない | やり直しの余地がない |
しかも事件の真相は隠され、表向きの功労者はルイということになりました。つまりレゴシは、代償だけを引き受けて称賛は受け取らなかったわけです。ハルとの関係も前に進められなくなり、自分だけの生き方を探すために退学を選びます。以後は治安のよくないアパート、コーポ伏獣で一人暮らしを始め、うどん屋べべべのアルバイトで生計を立てる日々に。しばらくは毎晩自室で暴れるほど食肉の禁断症状に苦しんでいました。
細かい話ですが、学費を払っていた祖父のゴーシャは、学園から親族扱いされていなかったため退学の連絡すら受けていません。学費が払い戻されるまで孫が学校を辞めたことを知らなかったんです。毒を持つ種族であるコモドオオトカゲとハイイロオオカミの婚姻が法的に認められていないため、血はつながっていても戸籍上は他人。この一点だけで、この世界の差別構造がはっきり伝わってきますよね。退学は挫折ではなく、社会の歪みをレゴシが一身に引き受けた結果なんです。
ビースターズの打ち切り理由の先にある魅力と今後の展開
- ビースターズの内容から読み解く、この作品は何を伝えたいのでしょうか
- ビースターズの相関図で整理したい主要キャラのつながり
- ビースターズの強さを比べたくなる戦闘描写の巧さ
- ビースターズのメロンと父にまつわる真実が突きつけた重さ
- ビースターズのレゴシ死亡説と死亡キャラをまとめて整理
- ビースターズのその後とレゴシとハルの子供、続編の見通し
内容から読み解く、この作品は何を伝えたいのでしょうか
ここ、語りたくなるところですよね。ビースターズの内容は、表と裏で完全に別の顔を持っています。表は全寮制のエリート校チェリートン学園を舞台にした青春群像劇。演劇部の新歓公演、隕石祭、卒業式といった学園行事が丁寧に描かれます。一方の裏は、種族という消せない属性が人生の選択肢を決めてしまう社会の物語なんです。
物語は一件の食殺事件から動きます。アルパカのテムが何者かに食い殺され、大型肉食獣で寡黙なレゴシが疑われる。疑いはすぐ晴れますが、肉食獣と草食獣のあいだに生まれた確執は消えません。この構造がそのまま作品全体の縮図になっているんですよね。誰も悪くないのに、種族という前提だけで空気が変わってしまう。
設定が伝えたいことを語っている
この世界では、生物学的な異種同士でも、さらには哺乳類と爬虫類という分類上の綱を超えた交配でも子孫を残せます。ただし卵生と胎生の間に子ができる確率は500分の1と言われるほど稀。しかも血統を残すため婚姻や出産は同種で行うのが望ましいとされ、異種族恋愛は学生時代で終わらせるものという常識が広く共有されています。肉食獣と草食獣の恋愛は異常性癖とみなされる傾向すらある。この設定が突きつけてくるのは、多様性を掲げる社会の建前と、実際に境界線上に立つ者が払う代償のギャップですよね。
レゴシはハイイロオオカミとコモドオオトカゲのクォーター、メロンはガゼルとヒョウのハーフ。二匹はどちらも綺麗なスローガンから漏れ落ちた存在です。レゴシは異種族の愛が成立すると信じ、メロンは自分こそが愛の成れの果てだと言い切る。この対立が本作の思想的な核なんです。だから最終決戦は善が悪を倒す話にならず、レゴシが自分の罪ごとメロンを抱きしめようとする構図になります。ビースターズが何を伝えたいのかと問われたら、境界線上の存在を切り捨てない社会は可能かという問いを、答えを出さないまま読者に手渡す作品だと言えるのかなと思います。
相関図で整理したい主要キャラのつながり
登場獣が多いので、頭のなかで一度整理しておくと読み返しがぐっと楽になりますよ。特に血縁と裏社会のつながりが交錯していて、そこが分かると終盤の重みが変わってきます。
| キャラクター | 種族 | 関係の要点 |
|---|---|---|
| レゴシ | ハイイロオオカミ | 主人公。ゴーシャの孫でクォーター。ハルに惹かれ、メロンと対峙する |
| ハル | ドワーフ種のウサギ | 園芸部。当初はルイと恋仲。のちにレゴシを受け入れる覚悟を示す |
| ルイ | アカシカ | ホーンズ財閥の御曹司。裏市の生き餌出身でシシ組の元ボス |
| ジュノ | ハイイロオオカミ | レゴシに強い恋愛感情を抱くが、のちにルイへ想いが移る |
| メロン | ガゼルとヒョウのハーフ | カウンセラーを装う象牙密売の首魁。ルイの後任としてシシ組を支配 |
| ヤフヤ | ウマ | 現壮獣ビースター。ゴーシャの元同志で、レゴシに執着する |
| ゴーシャ | コモドオオトカゲ | レゴシの母方の祖父かつ育ての親。強力な毒を持つ |
| ゴウヒン | ジャイアントパンダ | 裏市の心療内科医。レゴシの師にあたる存在 |
| リズ | ヒグマ | 食殺事件の真犯人。大晦日にレゴシと決着をつける |
| イブキ | マサイライオン | シシ組の実質ナンバー2。ルイを支え続けた |
血筋の流れも押さえておきますね。ゴーシャは戦場でハイイロオオカミのトキと出会って恋に落ち、二匹のあいだに生まれたのがレアノです。レアノは19歳ごろから背中にコモドオオトカゲの鱗が広がり始め、血統種のハイイロオオカミを産むためにファッションモデルのミヤギと関係を持ち、レゴシを産みました。全身の鱗化が進んだあとは自室に籠り、レゴシが12歳の誕生日を迎える前に自ら命を絶っています。レゴシに鱗化の心配はないと確信したうえでの決断でした。
もうひとつ、ヤフヤとゴーシャが36年前に共にビースターズを目指していたという因縁も効いています。ゴーシャが恋を選んでその道を降りたことで二匹は袂を分かった。だからヤフヤは、その孫であるレゴシに強く執着するんですよね。相関図として眺めると、この物語が三世代にわたる選択の連鎖でできていることが見えてきます。
強さを比べたくなる戦闘描写の巧さ
これ、語り合うと止まらなくなるテーマですよね。ビースターズの強さは単純な種族の格付けでは決まらないところが面白いんです。体格、本能、訓練、そして武器や薬の有無まで絡んでくる。
| キャラクター | 強さを支える要素 |
|---|---|
| ゴーシャ | 大柄な元兵士。分泌する毒がコンクリート塀を溶かすほど強力になる |
| ゴウヒン | 患者の暴力に耐えるため笹を食べて鍛え上げた筋骨隆々の肉体 |
| リズ | ヒグマの体格。筋力抑制剤の副作用で制御が効かなくなる場面もある |
| レゴシ | 185センチ71キロから6巻時点で187センチ77キロへ成長。ゴウヒンに師事 |
| メロン | ガゼルの俊敏さとヒョウの爪牙を併せ持ち、油断した相手の急所を突く |
| イブキ・フリー | シシ組の武闘派。銃器の扱いにも長ける |
数値はあくまで一般的な目安として見てほしいのですが、こうして並べると強さの根拠がキャラごとに違うことが分かりますよね。クマ科は筋肉の膨張を抑えるために政府から抑制剤を支給されているという設定があり、リズの悩みはその副作用と本能の板挟みでした。単に大きいから強いのではなく、強さを社会が管理しているという発想が入っているんです。
戦闘描写の巧さがはっきり出るのが、レゴシの成長の描き方です。彼は最初から強いのではなく、リズに襲われて圧倒的な力量差を実感したところからゴウヒンに弟子入りを志願します。求めたのは、食肉に頼らない強さ。肉を食えば手っ取り早く力を得られる世界で、あえて遠回りを選ぶという設定が、そのまま彼の人格描写になっているんですよね。演劇部のビルとの舞台上での本気の喧嘩や、大晦日の決闘、そしてメロン戦まで、勝ち方の意味が毎回変わっていくのが見どころだと思います。
拳銃の存在をどう捉えるか
一部の読者から強い指摘が出ているのが、この世界に拳銃が存在する点です。4巻でルイが拳銃を持っている描写を見て、それなら草食動物は自分の身を守れるじゃないかと感じ、肉食と草食の対立という前提そのものに疑問を持った人もいます。かなり本質的なツッコミですよね。ただ作中では、銃を持てば解決するという単純な話にはなっていません。ルイは銃でシシ組のボスを射殺しますが、その一撃が彼を裏社会に縛りつけ、イブキとの悲劇にまでつながっていく。武器があっても構造は変わらないという描き方になっているんです。この読み解きの余地こそ、強さ談義が盛り上がる理由なのかなと思います。
メロンと父にまつわる真実が突きつけた重さ
ここ、読んだ人ほど胸に残る部分ですよね。メロンはガゼルの父とヒョウの母のあいだに生まれたハーフで、マスクで口元を隠し、表ではゾウ専門の心理カウンセラー、裏では象牙密売組織と獅子組を握る存在です。全身に広がるヒョウ柄を隠すため、メロンの葉の刺青で覆っているという細部まで作り込まれています。かなりの高学歴で、勘も鋭い。アニメ版の声は沖野晃司さんが担当しました。
彼を決定づけているのが味覚障害です。植物でも肉でも、口に入れたものすべてが砂の味しかしない。食欲と性欲そのものが欠けていて、生きている実感を得る手段が痛みと恐怖しか残っていないんです。おいしいというのがどんな感じなのか分からない、というつぶやきの重さは、一度読むと忘れられません。
母が語った嘘と、明かされた父の生存
幼いメロンに、ヒョウの母はこう言い聞かせていました。お父さんは私たちが食べたのよ、愛していたから一つになったの。愛と捕食を同じものとして刷り込まれた子供が、まっすぐ育つのは難しいですよね。しかも母は息子を溺愛しながら、時折その中に夫の味を見出して涎を垂らしていた。愛されているのか餌として見られているのか分からない恐怖のなかで、背中にアイロンを押し当てられる虐待まで受けています。のちに彼が母を殺害したのは、自衛であり歪んだ愛からの卒業でもありました。
そして物語終盤、父は食べられておらず、ただ逃げただけで今も生きていると分かります。これは救いなのか、それ以上の絶望なのか。信じてきた悲劇の物語すら大人の都合で書き換えられていたと知ったとき、彼のなかで何かが静かに終わったのだと思います。22巻の群衆に紛れる特徴的な角のガゼルという描写も、この文脈で読むとかなり効いてきますよね。読者からは、父が生きていたのが一番きついという声や、メロンの人生は全部茶番だったのかという声が上がりました。最終的にメロンは死を与えられず収監され、味のない食事を取りながら罪と向き合う道を歩みます。死による救済すら許さない結末に、レゴシからの最大の贈り物だったのかもしれないという受け取り方もあるんですよ。
レゴシ死亡説と死亡キャラをまとめて整理
不安になりますよね。先に答えを言ってしまうと、レゴシは死亡しません。最後まで生き残り、ハルとの将来を選び取ります。ではなぜ死亡説が流れたのか。原因はメロンに狙撃されて重体に陥る場面です。
このとき意識を失ったレゴシは、幻覚のなかで霊となった母レアノと再会する夢を見ます。亡くなった母と会話する描写ですから、途中まで読んだ人が最悪の結末を想像してしまうのは無理もないところなんですよね。ネタバレを避けて情報を集めているうちに、この場面だけが切り取られて広まったのかなと思います。
もう一つの背景として、この作品が主要キャラを本当に殺してくる作風だという点も挙げられます。序盤で演劇部の一員が食殺されるところから物語が始まりますし、裏社会の描写では複数の獣が命を落とします。誰が生き残るか保証されていない緊張感が最後まで続くので、主人公にも死の可能性を感じてしまうんです。実際に狙撃で重体という展開を通されたら、なおさら不安になりますよね。
実際に命を落としたキャラクター
| キャラクター | 結末の経緯 |
|---|---|
| テム | アルパカ。演劇部でオディー役に抜擢された直後、リズに食殺される |
| シシ組のボス | ハルを食べようとしたが阻まれ、逃走しようとしたところをルイに射殺される |
| イブキ | ルイに覚悟を迫ろうとした結果、約束に従いフリーに射殺される |
| レアノ | レゴシの母。鱗化が進行し、息子の12歳の誕生日を前に自ら命を絶つ |
| メロンの母 | 虐待の末、メロン自身の手にかかる |
イブキの結末は特に読み返したくなる箇所です。彼はもし自分がルイを食殺しそうになったら射殺してほしいとフリーに命じていました。ルイの組抜けの意思を聞き、その覚悟を迫るために襲おうとした結果、その約束が実行されてしまう。ルイは、イブキがずっと自分に気を使って献身的に支えていたことに後から気づき、最後まで心を閉ざしていた事実を強く悔やみます。戒名は獅子眼鏡。この一言に込められた寂しさは相当なものですよね。
なお、アニメのFINAL SEASON Part2では原作と生死の扱いが変わっているキャラクターもいます。原作で亡くなる人物が生き延びていたり、逆に原作では描かれない死が加わっていたり。原作既読の方も、答え合わせのつもりで観ると新鮮に楽しめるのかなと思いますよ。
その後とレゴシとハルの子供、続編の見通し
最後に、いちばん気になる先の話をまとめますね。完結後の二匹がどうなったのかについて、作中で描かれた範囲と描かれなかった範囲をきちんと分けておくと気持ちが整理しやすいと思います。
まず描かれたこと。レゴシとハルは互いにプロポーズの言葉を交わし、これからも二匹で歩んでいく姿が示されました。本編のラストは、警察に対して堂々と付き合っていると告げる場面です。ルイはホーンズ財閥の社長として若くして経営を担い、レゴシとは別の道を進みながらも、要所で協力し合う関係が続いていく雰囲気が残されています。メロンは収監されたまま、静かに時間を過ごすことになりました。
結婚と子供はどこまで語られたのか
結婚式や子供の誕生は、連載終了までに描かれていません。ただ、レゴシがハルとの間に子供ができたらという発言をしていたので、望んでいたこと自体は読み取れます。彼は自分が異種族の血を引いて生まれた命ですから、そのあたりの考え方は柔軟なんですよね。一方でメロンという存在が、ハーフが背負う困難をこれ以上ないほど生々しく示してもいます。だからこそレゴシとハルの子供という想像は、幸福な夢としてだけでは語れない重さを持つんです。作品が明言を避けたのは、そこを安易に片づけたくなかったからなのかなと思います。
続編と作者の現在
ストレートな続編の制作発表は、現時点では確認できていません。ただ、世界観を共有するビーストコンプレックスには本作のキャラクターが登場するエピソードが複数あり、学園長ゴンの少年時代を描いたトラとビーバーなどが読めます。続編ではないけれど、あの世界に戻れる作品として押さえておくとよいですよ。板垣巴留さん自身も精力的に活動を続けていて、タイカの理性やウシミツガオといった新作を並行して発表しています。画業10周年を記念した個展も開催されました。舞台展開についても、2020年に予定された公演は感染症の流行で中止となりましたが、2024年9月にリーディングミュージカルとして東京と大阪で上演されています。アニメがPart2で完結した今、あらためて原作を22巻通しで読み返すのが、いちばん贅沢な楽しみ方なのかなと思います。
ビースターズが打ち切りと言われた理由の総まとめ
- ビースターズは打ち切りではなく、全22巻で完結した作品である
- 連載は週刊少年チャンピオン2016年41号から2020年45号まで続いた
- 最終巻の22巻は2021年1月8日に発売されている
- マンガ大賞2018大賞や講談社漫画賞少年部門など受賞歴が豊富である
- 累計発行部数は目安として750万部から1000万部規模と紹介されている
- 完結の翌月には同じ雑誌でビーストコンプレックスの短期集中連載が始まった
- 打ち切り説の主因はビースター制度の決着が読者の予想とずれた点にある
- ロクメなど再登場しない要素の多さも投げっぱなしという印象を生んだ
- 終盤の刊行ペースが速まったことが駆け足感を後押しした
- アニメは第2期から完結編まで約3年9か月空いたため打ち切り説が広まった
- FINAL SEASONは分割2クールでPart2が2026年3月7日から配信された
- レゴシの退学は成績や処分ではなく食肉前科による自主的な選択である
- レゴシは死亡せず、重体から回復してハルとの将来を選び取る
- メロンの父は食べられておらず生存していたことが終盤に明かされる
- 結婚や子供は未描写だが相互のプロポーズで先を示す形になっている
- ストレートな続編は未発表で、世界観の続きはビーストコンプレックスで味わえる

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